2014年1月10日金曜日

スロー地震 新たな巨大地震の前兆か

房総沖で「スロー地震」か=間隔最短、2年3カ月ぶり-国土地理院 1/10時事

 国土地理院は10日、千葉県の房総半島沖で、地下にあるプレートの境界がゆっくり滑る「スロー地震(スリップ)」とみられる現象を観測したと発表した。
同様の現象は2011年10月以来で、観測史上最短の2年3カ月ぶりの発生という。
 地震をもたらすプレートのひずみが小さくなった可能性がある一方、新たな巨大地震の前兆の恐れもあり、地理院は監視を続ける。(2014/01/10-17:30)


5カ月間続く“スロー”なM7地震 NZでスロースリップ現象、過去に日本でも 13/6/7産経

 ニュージーランドの首都ウェリントン近くでは、今年1月からこれまでずっと、「マグニチュード7の地震」が起きている。プレートの歪みがゆっくり解放されるスロースリップという現象だ。

 ニュージーランドの地震活動を監視する第三セクターGeoNetが、同国首都ウェリントンの近くで進行しているかなり興味深い事象についてブログ記事を公開している。
 ウェリントンでは1月以降これまでずっと、「マグニチュード7の地震」が起きている。感知されるほどの揺れは起きていないのだが、GPSで地面の動きを追跡してみると、その規模の地震エネルギーが放出されていることがわかるのだ。
 人々がプレートの動きに注目するのは、それによって何かが壊れる時、特に都市が丸ごと壊れるような時が多い。そうした事象では、すれ違おうとする2つのプレートが、固着した末、たまった緊張を突然の揺れとして解放する。
 しかし、地殻の変動はすべてが暴力的なわけではない。プレートが動いても摩擦が小さく、ほとんど感知されない形でエネルギーが解放される場合もある。
 スロースリップと呼ばれる地震は、そのふたつの中間にあたる。スロースリップは、沈み込み帯においてプレートどうしがぶつかって固着している時に起きる傾向がある。ただスロースリップではエネルギーが突然の揺れとして放出されるのではなく、何週間や何カ月と続くこともある一定期間の滑らかな動きによって歪みが解放される。

スロー地震による巨大地震発生予測の可能性」(8月23日開催) 読売


東京大学地震研究所副所長・小原一成教授
感じない地震
 最近見つかった「スロー地震」という現象が、巨大地震の発生と何らかの関係があることがわかってきている。
 スロー地震を観測することで、巨大地震の発生や切迫度の予測に応用できる可能性がある。
まず地震の起こるメカニズムだが、日本列島の下に沈み込む太平洋プレートやフィリピン海プレートは、沈み込む際に陸のプレートを引きずり込もうとする。陸のプレートにひずみがたまり、限界に達した時に海のプレートとの固着が外れて元に戻ろうとする動きが地震だ(図1)。
 海のプレートと陸のプレートの固着は一様ではなく、固着が強い部分は、沈み込みにともなう引きずり込みの力が大きくなる。この場所をアスペリティ(固着域)と呼んでいる。固着域はゆっくりと定常的に滑っている領域に囲まれているため、固着域に力が集中し、地震が繰り返し発生するという考え方が提唱されてきた。
 プレート境界では、固着域と定常的に滑っている領域のほか、この二つの領域の中間的な動きをしている場所がある。そこで起きているのがスロー地震で、定常滑りよりは速いが、通常の地震よりは滑りが遅いためスロー地震と呼ばれる。揺れの周期が長いのも特徴だ。
 同じ規模の通常の地震とスロー地震を比べると、通常の地震は揺れを観測できるが、スロー地震ではまったく観測されない。例えば、半年から数年かけてマグニチュード(M)6~7に相当する量の滑りが起こるため、人が感じることはなく、被害も及ぼさない