中継サーバーで不正12万4000件のクレジット情報を悪用か
サーバー中継業者摘発、他人のIDとパスワードでインターネットに不正に接続
18金融機関で8500万円の被害を確認
代表と中国国籍の4人を逮捕
他人のIDなどを使ってインターネットに不正に接続したとして摘発された埼玉県のサーバー業者のサーバーの中から、クレジットカードの契約者情報とみられるデータが12万件余り見つかったことが分かりました。警視庁は、カード情報とみて調べるとともに、犯罪に悪用された疑いもあるとみて捜査しています。
他人のIDとパスワードでインターネットに不正に接続したとして、今月5日、埼玉県のサーバー業者「日中新生コーポレーション」が不正アクセス禁止法違反の疑いで摘発されました。
この業者は、海外から日本にネットを接続させる「中継サーバー」と呼ばれるサービスを提供していて、警視庁は、中継サーバーを経由すると発信元が特定されにくくなるため、犯罪の温床になっているとみて調べています。
その後の捜査で、この業者が運営しているサーバーの中から、クレジットカードの契約者とみられる名前やメールアドレス、カード番号のデータが12万4000件見つかったことが、警視庁への取材で分かりました。
警視庁は、これらは不正に入手されたカードの契約者情報とみて調べるとともに、別の犯罪に悪用された疑いもあるとみて解析しています。
また、この業者が使用していたネット回線について、警視庁はNTT東日本に強制的に解約するよう要請したということで、今後、NTT側が検討を進めることにしています。
他人のIDとパスワードでプロバイダーのサーバーに不正アクセスしたとして、警視庁など15都道府県警の合同捜査本部は5日、不正アクセス禁止法違反容疑で、インターネット接続を中継するプロキシ(代理)サーバー事業者「日中新生コーポレーション」(東京都豊島区)代表遠藤彬容疑者(39)=埼玉県戸田市下前=と中国籍の従業員ら計4人を逮捕した。同庁によると、いずれも「知りません」などと容疑を否認している。
警視庁サイバー犯罪対策課によると、昨年12月~今年3月、この業者を経由したインターネットバンキングの不正送金の被害が、15都道府県のメガバンクや地銀など18行で計約8500万円確認された。昨年11月、全国の警察が中継サーバー事業者を一斉摘発しており、不正送金目的の利用者らがこの業者に流れたとみられる。
同庁は戸田市のマンション一室にある拠点を家宅捜索し、サーバー20台などを押収。発信元を隠すことができる中継サーバーが、サイバー犯罪の温床となっていたとみて、サーバーを解析するなどし実態解明を進める。
逮捕容疑は6月、不正に入手した他人のIDとパスワードを使い大手プロバイダーにアクセスした疑い。(2015/11/05-20:06)