2015年11月18日水曜日

日本任侠道の行方//元直系組長が語る,山口組,盛力会会長,盛力健児//山口組「直参」殺害か//追跡 山口組分裂//脱会派が「神戸山口組」を立ち上げた。

脱会派が「神戸山口組」を立ち上げた。

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元直系組長が語る「山口組」 盛力会会長 盛力健児



ナビゲーション 追跡 山口組分裂 10月2日


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山口組「直参」殺害か 三重・四日市 産経WEST

 15日午後5時40分ごろ、三重県四日市市浜田町の住宅で、指定暴力団山口組愛桜会の菱田達之会長(59)が、頭から血を流して死亡しているのを、妻が見つけて119番した。三重県警は殺人事件の疑いがあるとして捜査を始めた。菱田会長は「直参」と呼ばれる山口組幹部。
手足縛られ頭から出血 現場から鉄パイプ 三重・四日市


神戸山口組系の山健組系組長ら12人逮捕 愛知県警 産経WEST

 指定暴力団山口組系の組員と分裂した神戸山口組系の組員が名古屋市で小競り合いを起こした事件で、愛知県警は15日、傷害の疑いで、神戸山口組系の山健組傘下組長、鈴木元治容疑者(44)ら6人を再逮捕、傷害と凶器準備集合の疑いで、新たに組員6人を逮捕した。

長野で男性撃たれ意識不明 分裂トラブルか

  6日午後0時45分ごろ、長野県飯田市上殿岡の温泉施設「湯~眠」の駐車場で「40代くらいの男性が意識もうろうとなっている」と、施設の女性から119番があった。県警によると、飯田市の職業不詳の男性(43)で、銃で頭を撃たれたとみられ、意識不明の重体。県警は殺人未遂事件として捜査を始めた。
 捜査関係者によると、男性は暴力団関係者とみられ、指定暴力団山口組から分裂した「神戸山口組」に移る過程でトラブルになったとの情報があり、県警が確認を進めている。現場から凶器は発見されていない。

山口組分裂問題緊迫 組系関係者、防弾チョッキ準備 外国人ヒットマン投入も ZAKZAK

 国内最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)の分裂問題は、脱退派が立ち上げた新組織「神戸山口組」を率いる山健組の事務所(同中央区)に、大阪府警が家宅捜索に入るなど緊迫した状況が続いている。新旧組織の間で切り崩し工作が激化するなか、引き金がひかれる場合、いつどこでどのように起きる可能性があるのか。捜査関係者は「外国人や周辺者をヒットマンに仕立て、幹部クラスの大物をピンポイントで狙う恐れがある」と警戒を高めている。
 警視庁は11日、暴力団捜査の関係部署の幹部と各警察署の副署長ら計約200人を集め、山口組と脱退派の神戸山口組に関し、東京都内の同庁施設で緊急暴力団対策会議を開いた。山下史雄副総監が訓示。都内には山口組の傘下組織が85あり、約1800人の勢力を有することから、警戒強化や情報収集を徹底したとみられる。

新組織“代紋”は「山菱」か…囁かれた“名古屋移転”が引き金? 産経WEST2015.8.30

 日本最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)の分裂問題で、離脱する山健組(同市)などの直系組織(2次団体)の組長らが結成する新組織が、象徴の代紋について、山口組と同様に「山」の文字を菱形にあしらった「山菱」を使用する見通しであることが、捜査関係者への取材で分かった。名称には「神戸山口組」などが検討されており、新組織のこうした動きに山口組側が反発することが予想され、警察当局は警戒や情報収集を強化している。
 捜査関係者によると、山口組では最近、総本部を神戸から、篠田建市(通称・司忍)6代目組長の出身母体、弘道会(2次団体)の本拠がある名古屋市に移す話が浮上していたといい、兵庫、大阪両府県警などは、関西拠点の2次団体の一部がこれに反発し、分裂につながったとみている。
 山口組は来月1日に幹部による定例会を予定しているが、山健組や宅見組(大阪市)などの離脱グループは欠席するとみられる。
 山口組は100年前の大正4年に神戸市で結成され、山健組出身の渡辺芳則5代目組長(故人)まで、関西を拠点とした直系組織が主流派を占めた。しかし、平成17年の篠田組長就任後は、弘道会中心の運営が強まっていたとされる。

「絶縁」と「破門」の差も“切り崩し”の一手か…新組織の体制、流動的 産経WEST2015.8.30

 日本最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)が分裂し、新組織結成が決定的となる中、離脱グループに対する山口組の“切り崩し工作”は続いているとみられ、新組織の体制も流動的だ。当初は20~30団体の2次団体や、山健組(同市)に近い別の独立団体も加わる動きがあったとされるが、山口組執行部が27日に絶縁・破門の処分を決めたのは13団体。「切り崩し工作で直前で離脱を取りやめる団体が出た」(大阪府警幹部)のが理由とされる。
 ただ、今回の分裂騒動で山口組内部が揺れていたのは間違いない。

山谷氏「離脱動き承知、情報収集努める」 産経WEST2015.8.28

 日本最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区、構成員など約2万3千人)について、山谷えり子国家公安委員長は28日、閣議後の記者会見で「傘下組織の一部に離脱の動きがあることは承知しており、警察として情報収集に努める」と話した。
 近く分裂するとみられるが、警察当局は、抗争に発展しないか警戒を強めている。山谷氏は「国民の安全安心を確保することが重要であり、(警察の)各部門が連携して取り組みを強化する」と述べた。

山口組、分裂へ 十数団体脱退し新組織か 結成100年の節目に内部対立表面化 産経WEST2015.8.27

 日本最大の指定暴力団山口組(神戸市)が分裂する可能性が高いことが27日、捜査関係者への取材で分かった。複数の有力直系(2次)団体が山口組から脱退し、新たな組織を立ち上げる模様だ。兵庫県警や大阪府警など警察当局は情報収集を進めるとともに、分裂に伴って抗争に発展する恐れもあるとみて、警戒を強めている。
過去に分裂「山一抗争」…当局も動向を注視
 山口組は今年結成から100年となるが、節目に組織内の対立が表面化した格好。現在の篠田建市(通称・司忍)6代目組長に反発するグループが山口組を離脱するとみられ、捜査関係者によると、十数団体が離脱する方向という。
 27日午前には、神戸市灘区の山口組総本部で緊急の執行部会が招集されたが、捜査関係者によると、山口組内の最大派閥である山健組(同市)などの複数の団体が欠席した。
 捜査関係者によると、6代目就任以降、篠田組長の出身母体である弘道会(名古屋市)を中心とした執行部体制が築かれ、神戸や大阪など関西の直系組長らの間では不満がくすぶっていたという。

警察当局“新頂上作戦”の様相…山口組、住吉会、そして工藤会に攻勢 産経WEST2015.7.31

 昭和の時代、「大阪戦争」「山一抗争」など激しい抗争を続ける暴力団に対し、警察当局は「頂上作戦」と銘打ち組織の壊滅を目指した。だが、今年結成100年となった指定暴力団「山口組」は今も日本最大の規模を維持し続ける。一方、九州では上納金をめぐる脱税事件などで特定危険指定暴力団「工藤会」の封じ込めが進む。警察当局は山口組はじめ、それに次ぐ勢力の「住吉会」(東京)などにも攻勢を強める構えで、平成の“新頂上作戦”の様相を呈し始めている。
跡目争い「山一抗争」
 大阪戦争で強固な組織力を誇示した山口組は、その後も勢力を拡大し、全暴力団の4割以上を占めるまでになった。
 山口組は戦前、神戸の一暴力団組織にすぎなかったが、終戦直後に田岡一雄組長が3代目に就任すると、全国進出を本格化させ、各地で抗争を繰り返しながら勢力を拡大していった。警察は、昭和30年代後半から50年代にかけて3度の集中取り締まり「頂上作戦」を実施した。山口組でもナンバー2の若頭が逮捕されるなど多くの幹部や組員が摘発されたが、勢力が衰えることはなかった。
 大阪戦争から7年後の60年には、田岡組長の跡目をめぐって山口組内部が分裂した「山一抗争」で4代目組長が射殺されるなど、死者25人を出す過去最大の抗争となり、市民や警察官にも負傷者が出た。

山一抗争外伝 大物組長に呼び出されて 産経WEST

※この記事は、2011年10月13日に「【関西事件史】山一抗争外伝 大物組長に呼び出されて」としてMSN産経ニュースWestに掲載されたものです。

 昭和60年3月初め、大阪・桜橋(当時)にあった夕刊フジ大阪編集部に一本の電話が鳴った。
 野太い声で「この間の1面の記事やけどなぁ」。電話の主は、広島の広域暴力団、共政会の幹部を名乗り、「記事には事実誤認がある。親分がえろう怒ってはるから、広島まで説明にこいや」と有無を言わさぬ調子だった。
 指摘された記事は、数日前に先輩記者が特ダネとして報じた。反山口組組織「関西二十日会」のリーダー的存在だった共政会の山田久会長(故人、当時56歳)が、完全装備のベンツ改造リムジンを輸入したというものだった。
 山田会長といえば、映画「仁義なき戦い」のモデルの一人で、武闘派として知られていた。山口組4代目の竹中正久組長が、一和会のヒットマンに射殺されてから1カ月余り。これまで旗幟(きし)を鮮明にしていなかった広島ヤクザが、いよいよ一和会側に立ち、「参戦」するのではないか、というのが記事の見立てだった。
 これにカチンときた共政会側から、広島まで呼び出されたわけだが、入社2年目で夕刊フジの大阪府警詰めだった記者もなぜか「カメラマン」として同行させられることになったのだ。

山口組4代目組長射殺事件(上)病院に組員ら300人 産経WEST

※この記事は、2011年10月11日に「【関西事件史】山口組4代目組長射殺事件(上)病院に組員ら300人」としてMSN産経ニュースWestに掲載されたものです。

 「輸血頼まれたんじゃ。オヤジが死んだらお前が責任とってくれるんかい!」
 大阪市天王寺区の大阪警察病院の前は、300人を超えるやくざが目を血走らせて押しかけ、大阪府警の警官隊と押し問答を続けていた。昭和60年1月26日、土曜日の夜。広域暴力団山口組の竹中正久・4代目組長(当時51歳)が、大阪・吹田市内のマンションで対立する暴力団一和会の組員にピストルで撃たれ、担ぎこまれたのがこの病院だった。当時は大阪社会部の駆け出し記者で、病院前で緊迫した一部始終を見ることになった。翌日、竹中組長は意識を回復しないまま死亡。2年余りにわたって繰り広げられ、双方合わせて30人近い死者を出すことになった「山一抗争」の幕開けだった。
被害者は「タケナカマサヒサ」
 銃撃事件はその日午後9時15分ごろ、吹田市江坂のマンションの玄関で起きた。ステンドグラスが輝き、2階まで吹き抜けになった玄関ホール。コート姿の3人の男に向けて、待ち伏せしていた男2人がピストルを乱射した。
 目撃したのはこのマンションに住む女子中学生だった。
 「大変です。男の人が撃ち合っています」
 必死で110番した少女が再び駆け戻ると、ロビーのエレベーター前に血だらけになった男が2人倒れていた。1人はうめき声をあげ、もう1人はピクリとも動かなかった。竹中組長に同行していた山口組ナンバー2の若頭、中山勝正・豪友会会長(当時47歳)と、南組の南力・組長(同47歳)だった。


6代目・司忍組長単独インタビュー(上)=平成23年 産経WEST

 暴力団への利益供与などを禁じる東京都と沖縄県の暴力団排除条例が1日、施行された。これにより、暴力団の資金源根絶を目的にした暴排条例が全都道府県で出そろった。日本最大の指定暴力団「山口組」の篠田建市(通称・司忍)組長(69)は条例施行を前に、神戸市灘区の山口組総本部で産経新聞の取材に応じた。一般の事業者にも暴力団との関係遮断の努力義務が課された都条例について、「異様な時代が来た」と批判したうえで、山口組の解散を明確に否定した。一問一答は次の通り。

 --全国で暴力団排除条例が施行されるなど暴力団排除の機運が急速に高まっているが、どのように捉えているか
 「異様な時代が来たと感じている。やくざといえども、われわれもこの国の住人であり、社会の一員。昭和39年の第1次頂上作戦からこういうことをずっと経験しているが、暴力団排除条例はこれまでとは違う。われわれが法を犯して取り締まられるのは構わないが、われわれにも親がいれば子供もいる、親戚もいる、幼なじみもいる。こうした人たちとお茶を飲んだり、歓談したりするというだけでも周辺者とみなされかねないというのは、やくざは人ではないということなのだろう。しかも一般市民、善良な市民として生活しているそうした人たちがわれわれと同じ枠組みで処罰されるということに異常さを感じている。先日、芸能界を引退した島田紳助さんの件は条例施行を前にした一種のデモンストレーションだったとしか受け止められない。われわれは日本を法治国家と考えている。俺自身も銃刀法違反罪で共謀共同正犯に問われた際、1審では無罪という微妙な裁判だったが、最高裁で実刑判決が確定した後は速やかに服役した。法治国家に住んでいる以上は法を順守しないといけないとわかっているからだ。今回の条例は法の下の平等を無視し、法を犯してなくても当局が反社会的勢力だと認定した者には制裁を科すという一種の身分政策だ。今は反社会的勢力というのは暴力団が対象だが、今後拡大解釈されていくだろう」 

--身分政策というのは?

 「われわれの子供は今、みんないじめにあい、差別の対象になっている。われわれに人権がないといわれているのは知っているが、家族は別ではないか。若い者たちの各家庭では子供たちが学校でいじめにあっていると聞いているが、子を持つ親としてふびんに思う。このままでは将来的に第2の同和問題になると思っている。一般の人はそういう実態を全く知らない。ただ、山口組というのは窮地に立てば立つほどさらに進化してきた。昭和39年のときもわれわれの業界は終わりだといわれていた。ところがそれから1万人、2万人と増えた。弾圧といえば語弊があるが、厳しい取り締まりになればなるほど、裏に潜っていき、進化していく方法を知っている。今後一層、襟を正すために勉強し、山口組は進化していく。だが、裏に潜ることは山口組としてはあまりよしとしていない。任侠を守っていこうとしているが、取り締まりが厳しくなればなるほど、潜っていかないといけなくなる。それを一番危惧している。暴排条例ができたこと自体はまったく心配していない」
 --今後、山口組をどのように運営していくつもりなのか。広域暴力団という形を捨てたり、解散したりする考えはないか
「山口組を今、解散すれば、うんと治安は悪くなるだろう。なぜかというと、一握りの幹部はある程度蓄えもあるし、生活を案じなくてもいいだろうが、3万、4万人といわれている組員、さらに50万人から60万人になるその家族や親戚はどうなるのか目に見えている。若い者は路頭に迷い、結局は他の組に身を寄せるか、ギャングになるしかない。それでは解散する意味がない。ちりやほこりは風が吹けば隅に集まるのと一緒で、必ずどんな世界でも落後者というと語弊があるが、落ちこぼれ、世間になじめない人間もいる。われわれの組織はそういう人のよりどころになっている。しかし、うちの枠を外れると規律がなく、処罰もされないから自由にやる。そうしたら何をするかというと、すぐに金になることに走る。強盗や窃盗といった粗悪犯が増える。大半の人たちはわれわれを犯罪者集団と突き放していることはわかっている。その一因が私たちの側にあるのも事実で、そうした批判は謙虚に受け止める。しかし、やくざやその予備軍が生まれるのは社会的な理由がある。そうである以上、俺にできることは、これまで以上の任侠道に邁進する組織にすることだ。ぜい沢を求めて、自分勝手な行動を取る者は脱落する。組員はごく普通に暮らせればいい。そういう人間を一つの枠で固めているから犯罪が起きにくいという一面もある。矛盾しているように聞こえるかもしれないし、なかなか信じてもらえないだろうが、俺は暴力団をなくすために山口組を守りたいと考えている。そのことはこれからの行いで世間にご理解を願うしかない」


 --世間の人は暴力団組員が「普通に暮らせればいい」と思っているとは思っていない

「これだけ締め付けられ、しかもこの不況下でぜい沢ができるわけがない。そもそもやくざをしていて得なことはない。懲役とは隣り合わせだし、ときには生命の危険もある。それでも人が集まってくる。昔から言われることだが、この世界で救われる者がいるからだと思う。山口組には家庭環境に恵まれず、いわゆる落ちこぼれが多く、在日韓国、朝鮮人や被差別部落出身者も少なくない。こうした者に社会は冷たく、差別もなくなっていない。心構えがしっかりしていればやくざにならないというのは正論だが、残念ながら人は必ずしも強くはない。こうした者たちが寄り添い合うのはどこの国でも同じだ。それはどこかに理由がある。社会から落ちこぼれた若者たちが無軌道になって、かたぎに迷惑をかけないように目を光らせることもわれわれの務めだと思っている」


 --解散はしないというが、警察は暴力団の壊滅を目指しているし、一般市民もそれを望んでいるのではないか
 「山口組は他の団体に比べて突出して規模が大きいので、警察は反社会的集団として指弾しやすいのではないか。3万、4万人の反社会的集団というと、警察にとって脅威になるというのは決まっている。警察も山口組を解散し、千人や2千人の組にばらばらにしたいと思っているのだろう。しかし、山口組の存在でわれわれの業界の治安が守られているという事実がある。山口組を解散し、80の直系組織が個々の団体になった場合、当然縄張り争いが起き、抗争事件が続発している九州のようになるのは間違いない。今はほとんど抗争事件は起きていないし、ほかの団体とも平和外交に徹してきた。だからこそ、山口組を維持することが俺の責任であり、義務であると思っている。ひとつ加えると、われわれは暴力団といわれている業界のなかではすごく紳士的だ。一般の人よりも長幼の序とか、そういうことは厳しく守られている。ホテルとか公共の場で徒党を組まないとか3人以上で歩かないとか、そういう面でも厳しくしている」

 --しかし、過去にはたくさんの抗争事件が起き、一般市民が巻き添えになっているケースもある

 「やくざがかたぎに迷惑をかけることは理由がどうあれ許されない。これには一分の言い訳もない。やくざと仲間内のけんかはつきものだったが、すでにそうした時代ではないと認識している」
 --警察当局は山口組と、組長の出身組織の弘道会を集中的に取り締まっているが、どう考えるか
 「山口組については、多少なりとも法に触れた者が多かったのだろう。法に触れた以上は検挙されても仕方がない。弘道会は山口組若頭の高山(清司被告=恐喝罪で起訴)に代替わりをして、もう6年になる。山口組というのは個々の組が山口組の綱領を守りながらも独立した組織になっている。弘道会がどういうことをしているか把握していない、というよりも関知していない」
 --しかし、弘道会は「反警察」の急先鋒とされ、それが集中取り締まりの大きな要因になっている
 「弘道会の会長は高山であり、本人が不在のときにうんぬんと述べるべきではないと思う。ただ、そういう捉え方をされるのは、組織の人数が増え、規模が大きくなったからではないか。弘道会という名前に求心力があるのかどうかはわからないが。昔から反警察ではない。地域で何かやるときは警察に協力することもある。例えば天皇陛下が来られる、著名人が来るから自粛しなさいといわれれば従っている。反警察といわれること自体驚いている」

 --弘道会は警察の家宅捜索や職務質問の際に非協力的といわれている
 「家宅捜索は、組員とトラブルになったところだけがテレビなどで放映されるので、そういうイメージがついているのだろう。山口組を含めて、6代目の体制になってからは警察に速やかに入り、調べてもらいなさいという姿勢をとっている。昔はどったんばったんやったりして殴られたりもしたが」
 =6代目・司忍組長単独インタビュー(下)に続く

6代目・司忍組長単独インタビュー(下)=平成23年 産経WEST


※この記事は2011年10月2日に「【山口組組長 一問一答】(下)芸能界との関係『恩恵受けること一つもない』」としてMSN産経ニュースに掲載されたものです。

 暴力団排除条例の全都道府県での施行前に、神戸市灘区の山口組総本部で産経新聞の取材に応じた指定暴力団山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(69)。条例に対する批判のほかに、資金源や注目される芸能界との関係についても言及した。一問一答の続きは次の通り。
 --組長の服役中に暴力団情勢は大きく変化した。この間の組織の運営についてどう思うか
 「社会不在の期間中は、若い者たちに非常に苦労をかけたと思う。山口組の歴史を守ろうと思うと、時代に即応した順応性が必要だ。執行部はそれに沿って対処しており、俺自身は満足している。時代感覚を的確に捉えていない、時代を上手に理解しなくて自分らの形だけを守ろうとしている旧態依然の感覚の者が落後していったというのは事実で、新旧交代が上手にできたと思っている。前よりも組織がまじめになった。時代に即応した組織づくりをして、俺自身というより本部として求心力を増した。みんなには感謝している」

 --山口組は覚醒剤や不良外国人との接触を禁じているが、この方針を守り切れていない状況がうかがえる
 「山口組は厳しく覚醒剤と不良外国人との接触を禁じている。実際、山口組が、薬物の売買や不良外国人との接触を本当にしているのならば、今以上に治安が悪化し、薬物も蔓延しているはずだろう。ただ、末端の組員の一部不届き者たちが禁止事項を破り、われわれの目を盗んで己の欲望を満たすために任侠道の名を汚していることは紛れもない事実。だから、せめてそういう組員を少なくしないといけないということで麻薬撲滅を標榜している。まず内側から浄化していかないといけないということだ。外部に対して撲滅なんておこがましいことを言っているわけではない。不良外国人たちは今、日本のやくざが行き過ぎだと思える法令、条例が施行されて以降、われわれが自粛している間に東京の池袋や新宿、渋谷、あるいは名古屋、大阪などのたくさんの中核都市に組織拠点をつくり、麻薬、強盗などあらゆる犯罪を行っている。これが今後、民族マフィアと化していったら本当に怖くなるだろう。こちらもおこがましいが、それらの歯止めになっているのが山口組だと自負している。中部地方の場合、麻薬は全部外国人がやっている。山口組の組員は一切やっていない。名古屋に錦という飲み屋街があるが、外国人を一人も入れていない。かつては外国人がいっぱいで薬物を売ったりしていたが、20年前に閉め出した。そうしたら新栄という街に流れた。全部閉め出したら、窮鼠猫を噛むで収拾がつかないのでそこだけは外国人に開放しているが、その地域の治安がものすごく悪い。外国人同士の抗争事件もここの地域だけで起きる。しかも外国人は10代の女の子を標的にしている。1人に薬を渡して、今度はその子らが友達に、と輪が広がっているため、麻薬犯罪の低年齢化が進んでいる。もしわれわれが組織的に麻薬に手を出したら、ある程度の矜持といったらおかしいが、子供には渡さない。しかし、外国人は売ってなんぼだから小学生だろうが全然関係ない」

 --窃盗や強盗などで摘発される組員が増えている。この状況についてどう考えるか

 「景気、不景気に左右され、窃盗や強盗で摘発される組員も確かにいる。今後もそのような者が出るようであれば厳しく執行部に指導させていく。しかし、現役の組員はごく一部に過ぎない。新聞には摘発が増えているように掲載されているが、過去に破門、絶縁された者があたかも現役組員のように発表されているためだ。われわれの破門状の郵便消印を比べれば一目瞭然だ」

 --破門した人たちの捕捉はしているのか
 「ある程度はできるが、きりがない。彼らは1人では何もできないから、破門者同士が集まって徒党を組み、グループをつくっている。それが不良外国人と組んで窃盗をやったり、いろんな犯罪をしている」
 --破門者はどれくらいいるのか
 「人数ははっきりとわからないがかなりの数に上る。山口組の1次団体はともかく、2次団体や3次団体は10人くれば9人は破門になっている。厳しいからだ。だれでも組員になれるのではない。もうひとつ心配なのは暴力団排除の行方だ。暴力団を辞めさせるのはいい。しかし辞めた組員は食えない。元組員や前科者を雇ってくれる企業など現実にほとんどない。ましてやこの不況だ。となればすぐに金になる悪事に走る。コンビニ強盗、窃盗、薬物、ほかにもいろいろあると思うが、元組員となればわれわれが意見することもできない。しかも暴対法は指定暴力団を対象にしていて、組を抜けたこうした犯罪集団には何の効果もない。どこか矛盾しているのではないか」

 --それでは組の資金源はどういうものなのか
 「基本は正業だ。揺すりたかりや薬物では断じてない。もともと、山口組の出発点は今でいう港湾荷役の人材派遣業だった。その後、芸能などの興業に進出した。昔から世の中に褒められない業種もある。遊興ビジネスなどがそうだが、そういう業種は確実な利潤が見込めないし、複雑なもめごとがつきものだから、大手の資本はリスクを嫌って進出しない。そうした隙間産業にやくざは伝統的に生息してきた。今も基本的には変わらない。建設関係などまっとうな仕事もあるが、今は暴力団と関係があるというだけでそうした仕事はできない。人材派遣も、飲食業もできない。どういう方法で正業が立つかと検討している。不良外国人は飲食店とかいろんなことやっているが、許可は得ていない。次から次へと変えていく。われわれもそうなっていくのかな、と思っている。悪に走ろうと思ったら、明日からでもできるが、任侠を標榜している以上、人の道に反することはしない」
 -犯罪収益が資金源になっているのではないか
 「われわれは泥棒や詐欺師ではない。オレオレ詐欺なんてとんでもない話だ。年老いた親の世代をだましたり、貧困ビジネスという食えない身寄りのない路上生活者をむしるようなことは断じて許されない。少なくとも山口組にそうした者がいれば厳しく処分する。そもそも山口組は下部組織からの上納金で毎月多額のお金を集めていると思っているのではないか。そんなことはありえない。山口組は経費として、全員でその月その月の頭割りで個人負担しているだけで、上納金なんて一切ない」

 --今、芸能界との関係が問題視されている
 「昔は興行でかかわったが、今はもう、われわれが芸能界から恩恵を受けることは一つもない。何かあったら芸能人を呼んだりするやくざもいたが、もうほとんどいない。たまに昔から知っている芸能人とお茶を飲んだりすることはあっても、利益供与なんか一銭もない。むしろ、われわれは利用されている。芸能事務所などが仕事をとるために、どこそこの組と関係があるとうたっている。祝儀をあてにしてわれわれのところを訪ねてくる芸能人もいる。一般の人は利益を得ていると誤解している。今後、暴力団排除の動きが強くなるだろうが、われわれは関知しない。一連の流れで思うのは、暴力団排除キャンペーンは警察の都合ではないか。別にやくざ絡みの犯罪が増えているわけではないし、過去にもパチンコ業界への介入や総会屋排除などが叫ばれ、結局、警察OBの仕事が増えた。今回も似たような背景があるのではないだろうか。ともあれ、われわれは任侠に生きる者として、人としての矜持をわきまえ、人の尊厳を守り、いかなる逆風であろうとも揺るぎのない信念で若い者たちを指導していくつもりだ」